2014年3月8日土曜日

連続講座「大阪精神の系譜」 第4期「戦後の再出発」で最後、木津川学長が語る。

連続講座「大阪精神の系譜―その源流を探る」
第4期「戦後の再出発」

3月7日(金)18・30~20・30 キャンパスポート大阪で開かれました。

ど根性」から含羞へー“帝塚山派″への評価



江戸の荒事に対し、大坂の和事は都市をやわらか色に染めていました。原色でどぎつく、品位に欠け、そんな大阪像が氾濫する中で、私たちは大切で美しい文学をないがしろにしすぎたのです。庄野英二、潤三、阪田寛夫、藤沢恒夫、杉山平一…。帝塚山学院にかかわった一群の作家を“帝塚山派″と呼び、再評価の光を当てていただきました。

木津川さんからの追伸
 「昨夜はよくお越しくださいました。またよく催してくださいました。厚くお礼申しあげます。

 あの席で失念しましたキーワード、戻って思い出したのです。以下の通りです。

《近代以降の熱狂の時代》
 熱狂の時代    期待される精神   特性
①    日清・日露戦争―和魂洋才      女性(「女工哀史」)
②    15年戦争  ―滅私奉公      若者(特攻)
③    高度経済成長 ―ど根性       家族(長時間労働)

こうした図式(構図)は拙著
 『可哀そうなお父さんに捧げる哀歌―熱狂の時代と父権の歴史』(法律文化社刊、1
988年)で明らかにしました。自分で書いておきながら失念して恥ずかしいことで
す。

さて、提起した「帝塚山派(文)学会」
「帝塚山型文化」の措定と社会化

にぜひご理解とお力添えをください。
では皆様、お元気で。私は明日、神戸での一人語り「父帰る」に全力投球します。

木津川計」


<講師> 木津川 計(きづかわ・けい)

1935年、高知市生まれ。68年、雑誌「上方芸能」を創刊、81年からNHKラジオで「ラジオエッセイ」を担当、07年「木津川計の一人語り劇場」を旗揚げ。元立命館大学教授。12年から大阪自由大学学長。「人間と文化」(岩波書店)「上方の笑い」(講談社現代新書)「ことばの身づくろい」(上方芸能出版センター)など。


●参加者の感想から

・すごく類型化、体系化されてお話しいただき、うれしかったです。

・大阪精神の流れを事例から分類、類型化するお話を初めてうかがった。いつの間にか権力型がはびこっており、改めて「新たな大阪人像」を組みかえるということに気づかされた。文化類型を恥じらい型と受け止め、帝塚山型文化=人間的なやさしさを知りました。

・何度もラジオでお聞きしていますが、初めて生の話をきき、大変面白かった。

・木津川先生のあふれる知識にいつも時間を忘れて聞き惚れています。はじらい型、本当に大阪復興のためにはこの大阪人の流布が必要だと思います。

・大阪の市長、知事には、大阪の芸能・文化を大切にしてくださる人間的にやさしい方になていただきたいと心から思いました。

・帝塚山型文化の実現をめざしてください。

・三重県生まれの大阪育ちで、46年大阪に住んでいますが、ど根性、どケチ、がめついという言葉に非常に親しみがわくのです。

・大坂の将来を憂う先生の熱情が伝わってきました。

・前半の大阪観、大阪人像の話はひさしぶりに聞きました。後半の帝塚山型文化については初めてきく話で、よかった。

・馴染みのある大阪の作家群が懐かしい。ほとんど子供のころの思い出となるひとたちばかりだが。

・テレビ時代が始まる前の子供時代、ラジオで社会の姿を学んだものです。「お父さんはおひとよし」を聞きながら、家族のあるべき姿、大阪の庶民のくらしの在り方を教えられました。話を聞きながら、現在の核家族の問題を考えるヒントがあるように思いました。「はじらい」のあふれた家族から社会へのひろがりが進んでいく「優しい思いやりのある社会」として、利潤第一の社会に対抗する未来になっていくと。


0 件のコメント:

コメントを投稿