2018年5月28日月曜日

次回の読書カフェは6月16日(土) 北浜教室。 河合雅司『未来の年表2 人口減少日本であなたに起こること』です。

2018年6月16日(土)17:00~18:30 北浜教室

次回は
河合雅司『未来の年表2 人口減少日本であなたに起こること』(講談社現代新書 2018年5月刊 840円税別)です。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000276068

少子高齢化の渦中にある日本です。その近未来はどんな社会か、イメージしにくいのが実際です。本書はベストセラーになった前著『未来の年表』の続編です。本書では、個人に視点をおいて、その人の身の回りにどんな事が起こるのか、データに基づいて具体的に示しています。
今の働き盛りの世代が30~40年後どうなっているかが目安になっています。高齢者にとっては、子ども、孫世代の話だと考えがちですが、少子高齢化の影響はすでに始まっているといってよいでしょう。

2018年5月26日土曜日

第51回大阪自由大学読書カフェ「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(案内人、三室勇さん)2018年5月26日


大阪自由大学読書カフェ
「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(案内人、三室勇さん)
2018年5月26日
レジメは
http://kansai.main.jp/swfu/d/bookcafe20180526.pdf




「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著、東洋経済新聞社)
出版社の紹介から

東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、”彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた! これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。

【主な内容】
はじめに

第1章  MARCHに合格――AIはライバル
 AIとシンギュラリティ
 偏差値57.1
 AI進化の歴史
 YOLOの衝撃――画像認識の最先端
 ワトソンの活躍
 東ロボくんの戦略
 AIが仕事を奪う
  
第2章 桜散る――シンギュラリティはSF

 読解力と常識の壁――詰め込み教育の失敗
 意味が理解しないAI
 Siri(シリ)は賢者か?
 奇妙なピアノ曲
 機械翻訳
 シンギュラリティは到来しない

第3章 教科書が読めない――全国読解力調査

 人間は「AIにできない仕事」ができるか?――大学生数学基本調査
 数学ができないのか、問題文を理解していないのか?
 全国2万5000人の基礎的読解力を調査
 3人に1人が、簡単な文章が読めない
 偏差値と読解力
 
第4章 最悪のシナリオ

 AIに分断されるホワイトカラー
 企業が消えていく
 そして、AI世界恐慌がやってくる

おわりに

2018年5月22日火曜日

「新・大阪学事始」経済編3「戦禍を乗り越えた起業家精神」脇本祐一さん、レジメつき

大阪自由大学連続講座「新・大阪学事始」経済編3
大阪商人の不連続線
――経済のあり方が人間のありようを変える――
下)戦禍を乗り越えた起業家精神                   2018.5.22
講師は、脇本祐一さん(元日経新聞編集委員)


レジメから
大阪商人の不連続線
――経済のあり方が人間のありようを変える――
下)戦禍を乗り越えた起業家精神                   2018.5.22

・不連続線:異質なものが連続する cfサッカーとラグビー
・異質を生み出す断層:明治の維新革命
勤勉革命で高度な経済社会の近世江戸:天下の台所、先進的経済システム、在来語の商業用語
産業革命で欧米列強の仲間入りを目指した明治近代化
・不連続線とお雇い外国人
①英人言語学者チェンバレン:「貧乏人はいるが、貧困は存在しない」(「日本事物誌」)
②司法省顧問の仏人ブスケ:「貧しい人はいても悲惨さはない。彼らは聡明で器用、活動的だが、必要なだけ働いてそれ以上に働こうとしない。生産性の向上を要する近代産業に不適」(「日本見聞記」)
③進化論の紹介と大森貝塚発見の米人動物学者エドワード・モース:「路地で遊ぶ子どもたちには自由・平等のデモクラシー精神がある」(「日本その日その日」)
*明治38年、チェンバレンは同書第5版で「古い日本(江戸期の文明)は死んで去ってしまった」――経済のあり方が人間のありようを変える――

*戦前と戦後の間に断層はない。
三井・三菱・住友・芙蓉(安田、大倉、浅野)・古河など財閥系の一大企業グループの誕生
財閥の持ち株会社に代わって株式の持ち合い・メーンバンク制を柱にした日本型経営が展開

1、国際的視野をもった企業人たち
①戦後の大阪経済復興に奮闘した杉道助
・五綿八社の「八社」で唯一現存する八木商店(現ヤギ)社長、吉田松陰は大叔父
・昭和21年、大阪商工会議所会頭に就任。府・市と経済界で「大阪経済振興連絡協議会」設置。
新幹線・新大阪駅の設置、大阪国際空港や地下鉄網の整備、阪神高速道路公団の設立促進を推進
・昭和29年、ジェトロ(現独立行政法人・日本貿易振興機構)を創設して初代理事長
理事長職は関西財界人が就任(江商、ユニチカ、住銀)。昭和53年から通産官僚の天下りポストに
・政界との関わり:日ソ国交回復交渉全権顧問(鳩山一郎内閣)、日韓会談首席代表(池田内閣)

②日中間のLT貿易を推進した高碕達之助
・製缶会社の東洋製罐を大正6年、大阪市に設立した創業者。昭和33年に通産大臣就任で辞任
・電源開発初代総裁(昭和27年就任、吉田茂の要請):電力不足解消のための半官半民の特殊会社
佐久間ダム(静岡県、天竜川)、田子倉ダム(福島県、只見川)、手取川ダム(石川県)
佐久間ダム:戦後復興のシンボル。東洋一の重力ダム。昭和31年、アメリカ式の工法を導入して10年計画のところを3年で完成
・御母衣(みぼろ)ダム;日本初の大規模ロックフィルダム(庄川上流、荘川村)
関西電力の力量不足から電源開発が担当。昭和36年に完成
「御母衣ダム絶対反対期成同盟死守会」を結成した強固な地域共同体と足かけ7年の補償交渉
「幸福の覚書」(補償交渉に臨む高碕の理念)
*御母衣ダムの建設によって立ち退きの余儀ない状況になった時は、貴殿が現在以上に幸福と考えられる方策を我社は責任をもって樹立し、これを実行するものであることを約束する。
・荘川桜(樹齢450年のエドヒガン移植。桜男の笹部新太郎)「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」
*建設省との対比で際立つ高碕の手腕
川辺川ダム(熊本県、球磨川水系、中断)、下筌・松原ダム(大分県、筑後川支流、蜂の巣城紛争)、沼田ダム(群馬県、利根川本流、断念)
蜂の巣城紛争を闘った室原知幸:「公共事業は法に叶い、理に叶い、情に叶わなければならない」
・LT貿易
昭和37年、中日友好協会会長の寥承志と高碕との間で「日中総合貿易に関する覚書」に調印。両人の頭文字をとってLT。昭和47年の日中国交正常化まで準政府間貿易として日中貿易の中心。

③技術立国に賭けた大原総一郎(クラレ社長、57歳で死去)
・世界初の合成繊維・ビニロンを開発:国産資源を使って国産技術を開発、京大との産学連携
「戦後の日本が生んだもっとも誇れる産業技術」(“ミスター半導体”西澤潤一)
・社運を賭けたビニロンの工業化事業:資本金の6倍もの事業投資。
昭和21年から研究再開。24年、日銀総裁と直談判「日本の繊維産業のための布石。敗戦後の日本人を奮い立たせるための事業」。日本橋三越でビニロン製品の展示即売会。15行による14億円余の協調融資。25年工業化に成功。
・ビニロン・プラントの対中輸出(昭和38年):西側諸国のプラント輸出第一号、LT貿易の目玉
日台関係、中米関係など政治問題化する壁をクリア
「日産30トンのビニロンは1年1人当たりわずか0.017キロの繊維を供給するに過ぎないが、繊維が不足している中国人大衆にとっていささかでも日々の生活の糧となり、戦争で物心両面に荒廃と悲惨をもたらした過去の日本人のために、何ほどかの償いになればということ以外にはない」
・時代を先取りする経営哲学:企業の社会的責任、公害に対する発生者責任の原則
・「美しい経済人」(松下幸之助):一級の文化人(柳宗悦の民芸運動を支援)

2、忘れられた経営者の決断
・黒部ダム(昭和38年完成)の建設を断行した関電社長の太田垣士郎の経営者観
「九分九厘まで安全とわかっている仕事は誰でもできる。安全度の七分で着手するか、八分まで待つか、危険度をいかに克服スルカトいう点に経営者の手腕がかかっている」
・帝王学の「井植学校」
昭和37年に三洋電機の創業者の井植歳男が宝塚市の山荘を開放して2ヶ月に1回開催。若手経営者が経営観、人生哲学を披露する。メンバーは石橋信夫(大和ハウス工業)、中内功(ダイエー)、佐治敬三(サントリー)、山田稔(ダイキン工業)、森下泰(森下仁丹)ら
・シャープ社長佐伯旭の英断:「千里から天理へ」
組み立て工場から総合エレクトロニクス企業に。大阪万博の出展をやめて天理に液晶工場・研究所に投資、ハヤカッタ電機から「技術のシャープ」
カシオとの電卓競争に勝利、カメラ付き携帯電話、液晶テレビ→堺に世界最大の液晶パネル工場

3、1995年の断層:・阪神大震災/オウムの地下鉄サリン、ウインドウズ95の登場
・グローバリゼーションが世界を席巻:「近代」の行き詰まりを象徴、格差の発見
「資本主義はその成功ゆえに自壊する」(シュンペーター)
・インターネットはアダム・スミスの“見えざる手”を実現:すぐれた市場として機能
GAFA=検索エンジン、ネット通販、SNS、デジタルデバイス
・内向きのローカル思考:在阪私鉄vs武田薬品工業の小が大を呑むシャイアー買収
・先行きの不透明感とポール・ヴァレリーの至言
「湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来へ入っていく。 目に映るのは過去の風景ばかり、明日の景色は誰も知らない」

2018年5月15日火曜日

大阪自由大学講座「新・大阪学事始」経済編2 「大阪商人の不連続線」 「近代」の断層

大阪自由大学講座「新・大阪学事始」経済編2
「大阪商人の不連続線」
「近代」の断層
2018年5月15日


大阪商人の不連続線
――経済のあり方が人間のありようを変える――
中)「近代」という断層                        2018.5.15
1、維新革命による新陳代謝:経済界の主役が交代
*豪商の没落(幕末の買米ランキング)            ×は倒産、△はその同族
①鴻池屋善右衛門(鴻池)  33,000石    ①△加島屋久右衛門(広岡)  33,000石
③三井八郎右衛門(三井)  30,000石    ③泉屋次郎右衛門(住友)   30,000石
⑤×加島屋作兵衛(長田)  25,000石    ⑥辰巳屋久左衛門(和田)   20,000石
⑥米屋平右衛門(殿村)   20,000石    ⑥鴻池屋又右衛門       20,000石
⑥鴻池屋善五郎       20,000石    ⑩×近江屋休兵衛(森本)   17,000石
⑩×炭屋安兵衛       17,000石    ⑩△炭屋善五郎        17,000石
⑩×平野屋五兵衛      17,000石   ×升屋平右衛門(山片)×天王寺屋五兵衛(大眉)

*日本型「政商」の登場=政治権力と経済覇権の癒着で幕が開いた明治近代化
・三井組(井上馨、渋沢栄一)、三菱商会(後藤象二郎、大隈重信)、藤田組(木戸孝允、山縣有朋、井上馨)、五代友厚(大久保利通、黒田清隆)、浅野総一郎、大倉喜八郎
・為替方御三家の明暗:小野組・島田組の破綻と生き残った三井組(三野村利左衛門の活躍)
・沢の鶴:米屋喜兵衛(石崎)が享保2年(1717年)に酒造業。商標は※、

2、学都の消滅
・永田仁助(浪速銀行頭取)のぼやき
・泊園書院の存在感  藤沢南岳の手腕?
出身者:永田仁助、森下博(仁丹の創業者)、五代目武田長兵衛(「杏雨書屋」)
愛日小学校:「君子は日を愛しみて以て学び、時に及んで以て行う」(「大戴礼記」)
愛珠幼稚園:「主人花を愛すること珠を愛するが如し、幼子もまた掌中の珠として愛す」

3、明治15年にはじまった産業革命
日本銀行の発足(初代支店長:外山脩造、のち阪神電鉄初代社長)
近代紡績・大阪紡績の設立(渋沢栄一の主唱で藤田伝三郎・松本重太郎らが出資)
*イギリスの綿工業は日本を席巻できなかった
・東アジアの衣服文化の伝統  衣服の使い方や役割の違い(薄地の夏物vs厚手の防寒着)
・東洋のマンチェスターの由来

*東洋紡績対等合併の実態 1914年(大正3年)に三重紡績と大阪紡績が合併
・渋沢栄一の斡旋でトップの鐘淵紡績に迫る大企業に。合併比率は三重紡1対:大阪紡0.8、本社四日市、社長大阪紡の山辺丈夫、三重紡の伊藤伝七は副社長。取締役は三重紡5人、大阪紡2人
*小山健三:東の渋沢、西の小山
・三十四銀行(のち三和銀行)二代目頭取。大正7年、紡績トップになる大日本紡績(尼崎紡績・摂津紡績)の合併を仲介。関一の大阪市助役招聘を斡旋
・文部官僚・教育者。東京高商(現一橋大学)の教育を抜本改革。大学昇格の礎を築いた中興の祖。1899年(明治32年)1月に日銀大阪支店長の片岡直輝の推薦で頭取。近代的な商業銀行の経営方針を打ち出す。行風を一新するために羽織の着用を禁止し、新規取引先の開拓を推進。4月には日本中立銀行(台湾)と日本共同銀行を合併して規模を拡大。翌年には横浜正金銀行とコルレス契約を結んで外為業務を開始。
・日露戦争を挟んで産業構造が鉄道・電力・鉄鋼などの基幹産業に広がるなかで明治44年に新規事業に乗り出す。①企業に事業資金を供給する担保付社債信託業務を開始②資本金を倍額増資して中小企業向けに長期資金の貸出をはじめる③大正4年に東京支店、10年に京橋支店を開設。東京地区の営業活動の強化に東京商工会議所会頭の藤山雷太を監査役に迎えた
・積極的に規模や業務範囲を拡大しながらも経営は極めて堅実。東西の30行以上が被害を受けた巨額詐欺事件の「石井定七事件」(大正11年)で同行だけが唯一まったく被害がなかった

*菊池恭三
・工部大学校卒の紡績技師として平野紡績の支配人兼工務部長から尼崎紡績・摂津紡績両社の社長を兼務。大正7年、大日本紡績の発足で初代社長。鐘紡、東洋紡を凌ぐ最大手紡績に育てる。同13年、小山健三の死去によって三十四銀行の三代目頭取。昭和7年、鴻池・山口・三十四の合併を発案。日銀大阪支店に働きかけて翌年、三和銀行が誕生

4、大大阪のこと
・六代目市長の池上四郎と七代目市長の関一の22年(大正2年~昭和10年)が大阪の最盛期。
グレーター大阪(大阪都市圏の構想)、イギリス・レッチワースの田園都市(ハワードの先見性)
・池上・関をつないだ小山健三:池上⇔内藤湖南・戸田海市⇔小山健三→関
・小林一三の住宅分譲の宣伝文にみる近代都市・大阪の実情と郊外生活の時代
「美しき水の都は昔の夢と消え、空暗き煙の都に住む不幸なる大阪市民諸君」(明治43年)
「きれいで早うて。ガラアキで眺めの素敵によい涼しい電車」(大正9年、7月)
・阪神電鉄のタブロイド版「郊外生活」の定期発行

*岩下清周 偉大な銀行家? 第一級の山師?
・三井銀行で中上川彦次郎と対立して退社、北浜銀行を創始して頭取
持論の工業立国論に基づく投資銀行的な人物本位の積極融資で起業家を支援。
豊田佐吉(豊田自動織機製作所)、森永太一郎(森永製菓)、小林一三、大林芳五郎(大林組)
大正4年、乱脈融資で同行は破綻(のち三十四銀行に吸収)。背任・横領容疑で有罪
・小林一三の名言「百歩先が見えるものは……」が指すもの

5、都市対抗野球に見る企業の消長
・全鐘紡(昭和24~40年)から住金・新日鉄(30~平成7年)、松下・日生(28年~)まで
・田村駒(洋反物商)二代目社長の田村駒次郎の見果てぬ夢
都市対抗;昭和13年田村駒初出場。昭和14年、庄内田村駒準優勝、太陽レーヨン2回戦敗退
プロ球団のオーナー(松竹ロビンス、初代セ・リーグチャンピオン)

2018年5月9日水曜日

特別講演会「北朝鮮情勢を考える」を開きます。5月21日。講師は平井久志さん。

特別講演会「北朝鮮情勢を考える」を開きます。
5月21日午後6時半から8時
会場は、おおさかシニアネット(大阪市中央区本町)
講師は平井久志さん(ジャーナリスト、共同通信客員論説委員)
主催 大阪自由大学


2018年5月8日火曜日

「新・大阪学事始」経済編その1「天下の台所の実相」を開きました。レジメつき

「新・大阪学事始」経済編その1「天下の台所の実相」を開きました。
レジメつき。
講師は脇本祐一さん(元日経新聞編集委員)



大阪商人の不連続線
――経済のあり方が人間のありようを変える――

上)天下の台所の実相                     2018.5.8
1、権力の真空地帯が生んだ“藩際経済”の共同租界
・東アジアの秩序安定・農本主義を圧倒した重商主義・堂島米市場にみる幕府vs雄藩の確執
・西廻り航路の終着点・新興の本町人の台頭と初期豪商の没落

2、金融都市・大坂 大幅な入超を巨額の金融収入で一大債権都市に
・豪商の金融工学
*商業用語は江戸期以前の在来語
取引、相場、株式(職)、市場(庭)、手形、為替、切手、寄付(海からの寄物)、大引け(引き潮)
近世の商業・流通システムが高度に発達していた証左。在来語で欧米の商取引と結びつけた。

3、町人文化の人文主義 儒教思想に抗する人間賛歌、好色一代男にみえる数量化
*仕合わせ≠幸せ→堅実・質素・倹約
仕合わせとは偶然に出会うもので、良い仕合わせもあれば悪い仕合わせもあると考えた
・井原西鶴:仕合わせ」表現を多用。日本永代蔵、世間胸算用などの作品で
人は欲に手足がついたものぞかし、憂うる者は富貴にして憂ひ楽しむ者は貧にして楽しむ
・近松門左衛門:虚実皮膜の芸術論 実際に起こった事件を題材に人間の喜怒哀楽を描く
曽根崎心中、心中天の網島、博多小女郎浪枕、夕霧阿波鳴渡……貴いものはこの胸ひとつ
・油煙斎貞柳:紀海音の兄、禁裏御用の鯛屋。百居ても同じ浮き世に同じ花 月はまん丸雪は白妙
・小西来山:薬種商、お奉行の名さえしらずに年暮れぬ、涼しさに四ツ橋を四ツわたりけり
・慈雲尊者:真言宗の僧、正法律を提唱して雲伝神道を創始。梵語研究の大著『梵学津梁』
・上島鬼貫;伊丹の酒造業。俳諧師・財政家……美濃の松波勘十郎と大和郡山藩の財政改革を争う

4、商都は学都――「学者の金持ち」が理想の風土
・福沢にみる適塾の「実学」
・天文学の麻田剛立:門下に山片蟠桃、寛政改暦の間重富・高橋至時。孫弟子に伊能忠敬
・木村蒹葭堂:酒造業、知の巨人の博物学者、全国の文人墨客を集めた文化サロン主催
*大坂蘭学の祖・橋本宗吉:「絲漢堂」門下に大矢尚斎、伏屋素犾、斎藤方策、各務文献、中天游(医学・物理学、緒方洪庵の師)
・大坂国学者三羽烏 雑学を究め、実証的で文献的な契沖の学風を継承
①入江昌喜(両替商、榎並屋)②加藤景範(薬種商、小川屋)③江田世恭(富田屋)
学風は本居宣長のように古道にこだわらず、外来思想の儒学・仏学も排除せず
・上田秋成の宣長嫌い
*入江昌喜:3歳から学問。24歳で兄の死により家業に。47歳で甥に譲って高津で学問に専念。63歳のときに甥の死で家業に復帰。73歳から学問に戻って「万葉類葉抄補欠」を著す
・入江育斎(住友友俊):五代目・友昌の弟で、住友の家政を担う。寛保3年(1743年)、60年ぶりに両替店を再興。漢学は懐徳堂の五井蘭州、和歌は冷泉為村に師事。
*百花繚乱の学塾
・含翠堂(町人学問所の嚆矢、平野郷)・懐徳堂・片山北海(尾藤二州の師)の混沌詩社(立売堀、懐徳堂と並ぶ学塾、蒹葭堂が同人、竹山は社友)・藤沢東畡の泊園書院・篠崎三島(紙屋・両替商)の梅花社、頼春水(山陽の父、竹原の豪商)の青山社・大塩平八郎の洗心洞、
*天明・寛政期の漢詩人は川沿いに居住 片山北海、頼春水・山陽、篠崎三島・小竹

2018年5月1日火曜日

大阪自由大学通信66号です



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2018年5月1日             (転載・転送・拡散歓迎)
大阪自由大学(Osaka Freedom University)通信 66号
                         学長 倉光 弘己
                       http://kansai.main.jp/  
                  
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●NEW!!「連続講座「新・大阪学事始」を今年4月から開講しています。

これからの大阪をどのように考え、つくりあげていけばいいのでしょうか。私た
ちは、大阪の歴史、文化をみつめるためにこれまで5年間にわたって連続歴史講
座「大阪精神の系譜」(14期、計43回)などを開講してきました。それらを
整理し、足元から再度、大阪のビジョンを描いていきたいと思っています。

☆4月から火曜日に開催(原則月3回)
14:00~15:30
会場は 淀屋橋マスターズ情報館
(大阪市中央区伏見町4-2-14、WAKITA藤村御堂筋ビル地下1階、地下鉄淀屋
橋駅13番出口すぐ)
定員30人、参加費1000円(資料代など)

☆5月は「大阪商人の不連続線」と題して経済編を開きます。
講師は脇本祐一さん(元日本経済新聞編集委員)です。

8日 「天下の台所」の実相―「学都」の風土、西鶴・近松の人文主義―
15日 近代化の起業家精神―産業革命の主導、大大阪の建設―
22日 復興から成長、再生へ―創業者の退場、お題目の東京一極集中―

☆6月<大阪から見た「大阪の近代文学」(高橋俊郎・大阪文学振興会総務委員)


5日 大阪からはじまった読み物の潮流
   ~新聞小説から出た宇田川文海・渡辺霞亭らの先進性~
12日 大阪で生まれた小説や詩
   ~百田宗次・梶井基次郎・三好達治そして小野十三郎ら~
19日 大阪を離れなかった訳
   ~藤澤桓夫・織田作之助・司馬遼太郎・田辺聖子そして長谷川幸延ら~
26日 文学散歩「オダサクの世界を歩く」~口縄坂から法善寺~
   集合場所 14;30 地下鉄谷町線四天王寺前夕陽ケ丘駅1号出入り口前
     (案内人・高橋俊郎さん、14:30~16:30, 参加費1500円)

☆7月<大阪の女性(木津川計・元雑誌「上方芸能」発行人)>

3日「がめつい女」ー菊田一夫とお鹿婆さん
10日「ど根性の女」-山崎豊子と多加 
17日「尽す女」  -上司小剣とお文

☆9月<地震考古学からみた大阪地層探検(寒川旭・地震学者)

4日南海トラフ巨大地震の歴史
11日秀吉時代の伏見地震と阪神大震災
18日9世紀地震と現在
25日地層見学会「大阪城周辺を歩く」
  (案内人・元毎日新聞記者 長谷川信正さん、参加費1500円)

☆10月<大阪スポーツ学再考(玉置通夫・大阪スポーツマンクラブ会長)>
2日相撲は浪速からー大阪にあった国技館
9日スポーツ事業の先進地ー新聞社と私鉄
16日大阪女性のパイオニア精神

☆11月<上方落語の住人たち(荻田清・梅花女子大学名誉教授)>

6日長屋の人々
13日商家の人々
20日花街の人々

☆12月<大阪文化の可能性(河内厚郎・文化プロデューサー)>

4日オールドタウンの高付加価値化
11日古都おおさか再発見
18日近松門左衛門300回忌に向けて

●NEW!!「話してんか、聞いてんか、私のおおさか論」(動画投稿)を募集してい
ます。

 外国人観光客のなかで一番人気があるのが大阪です。東京一極集中が続く中で、
低迷しているようであっても、外国人の目には「おもしろい街」に見えるようで
す。
 大阪への苦言、提言、将来への希望、さらに決別を込めた遺言(ラストメッセー
ジ)でもかまいせん。あなたの大阪論をお待ちしています。
 大阪自由大学動画チャンネル(YouTube)で公開します。

 大阪について語ってみたい方は大阪自由大学事務局にお声をかけてください。

タッフがビデオ持参で駆けつけます。自分で収録し、15分程度にまとめたもの
があれば、事務局にお送りください。大阪の知的財産、遺産として保存します。
詳細は事務局へ。

●「道浦母都子の短歌塾」

隔月土曜日開催。次回は6月2日(土)14:00~16:00
上田学園中津校舎(大阪総合デザイン専門学校)
(大阪市北区中津1丁目7番21号。地下鉄・御堂筋線中津駅(5)号出口より 徒歩
すぐ、阪急電車中津駅より 徒歩3分)
参加費は2000円。参加希望者は事務局にご連絡ください。
参加される方は、次回は題詠「雨」と自由詠1首の計2首を事前に提出
してください。次回に取り上げる歌人は「尾崎左永子」です。

●読書カフェ(案内人、三室勇さん)

5月の読書カフェでは新井紀子著『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(東洋
経済新報社)をとりあげます。

5月26日(土)17:00~18:30 北浜教室
参加費 500円。どなたでも参加できます。

https://store.toyokeizai.net/books/9784492762394/

 著者は国立情報学研究所教授で数学者。東大合格を目指すAI「東ロボくん」の
育ての親として知られる人です。この本には、同プロジェクトから見えてきた
AIの可能性と限界、人間との関係の未来が語られます。数学者だからいえるシン
ギュラリティ(AIが人間を超える)など来ないという意見も傾聴に値します。

●スポーツ連続講座「スポーツ近代史余話―その真相を探る(その2)―」

講師は大阪スポーツマンクラブ会長、玉置通夫さん)
会場はおおさかシニアネット(大阪市中央区本町3-5-5、カネセビル   
3階 地下鉄本町駅3番出口より徒歩1分)
定員40人、参加費 各回1000円

プログラムは以下の通り(いずれも木曜日18:30~20:00)
5月10日=ラジオの初実況は野球(昭和2年)
6月14日=ラジオ体操90年(昭和3年)
7月12日=前畑がんばれの絶叫(昭和11年)
9月13日=スポーツマンと新聞記者(昭和24年)
10月11日=プロレスは大阪から(昭和29年)
11月8日=猪谷千春の銀メダル(昭和31年)
12月13日=海外への中継は東京五輪から(昭和39年)


●連続講座「東アジアを考えるー戦後72年、アジアと日本の現実」(第4期)

5月14日(月)19 : 00~21 : 00
「無国籍在日サラムの視座から想うこと」

講師は丁章(チョンヂャン)さん(詩人・喫茶美術館店主)
会場は バラエティーサークル(大阪市淀川区十三東4丁目10-3)
参加費.一般1000円(各回とも)学生無料


●映画サロン
企画中。

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 大阪・自由大学の活動にはどなたもご参加いただけます。大阪の課題に限らず、
いまの日本、世界の動きをみつめながらともに考えていくべきテーマについてご
意見、ご提案をお寄せください。

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                       発行責任者 池田 知隆
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